- 展示会に出展するが、ブースでの声かけに自信がない
- 声をかけても足を止めてもらえず、名刺交換や商談につながらない
- スタッフごとに声かけの質にばらつきがあり、属人化を解消したい
こうした課題を持つ展示会担当者・営業責任者に向けて、展示会ブースでの声かけテクニックを体系的に整理しました。来場者の心理を踏まえた声かけの基本原則から、具体的なトーク例、スタッフの役割分担、事前準備のポイントまでを解説します。属人的なスキルに頼らず、チーム全体で再現できる声かけの仕組みづくりを目指す方に役立つ内容です。
展示会ブースでの声かけが重要な理由
展示会は、短時間で多数の見込み顧客と接点を持てる貴重な営業チャネルです。しかし、ブースを設置しただけでは来場者は立ち寄りません。来場者がブースに足を踏み入れるかどうかは、最初の声かけで決まります。
来場者は1日で数十から数百のブースの前を通過します。各ブースに滞在する時間は限られており、声かけの第一声で「自分に関係がある」と感じなければ、そのまま通り過ぎてしまいます。
展示会における声かけの役割は、大きく2つに分類できます。
- 呼び込み:通路を歩く来場者の足を止めること。まだ関心が明確でない層に対し、短い一言で注意を引く
- 声かけ:ブース付近で足を止めた来場者に対し、ヒアリングや情報提供を通じて商談につなげる対応
この2つは目的もスキルも異なります。呼び込みは「量」を確保するフェーズであり、声かけは「質」を高めるフェーズです。両方の精度を高めることで、展示会全体の名刺獲得数や商談化率が大きく変わります。
声かけの成果が展示会ROIを左右する
展示会の投資対効果は、出展費用に対してどれだけの商談・受注を生み出せたかで測定されます。ブース装飾やノベルティに予算を投じても、声かけが機能しなければ来場者との接点は生まれません。声かけの質は、展示会の費用対効果を決定づける最も重要な変数の一つです。
来場者心理を理解する|なぜ素通りされるのか

効果的な声かけを設計するためには、来場者の心理状態を理解する必要があります。
来場者が持つ3つの心理的バリア
- 警戒心:「強引に営業されるのではないか」という不安。ブースに近づくこと自体にリスクを感じている
- 時間制約:限られた時間で多くのブースを回りたいため、「長く拘束されたくない」と考えている
- 情報過多:多数のブースから情報を浴び続けており、処理能力が飽和している。差別化されていないメッセージは記憶に残らない
これらのバリアを理解せずに声かけを行うと、来場者はさらに防御的になり、逆効果となります。
素通りされる典型的なNG声かけ
以下のような声かけは、来場者の心理的バリアを強化してしまいます。
- 「よろしければお立ち寄りください」:理由が不明確で、足を止める動機にならない
- 「弊社のサービスをご紹介させてください」:来場者視点のメリットがなく、売り込み感が強い
- 「お時間ありますか?」:拘束される不安を喚起する
- 大声での連呼:圧迫感を与え、ブース全体の印象を損なう
声かけの起点は「自社が伝えたいこと」ではなく、「来場者が抱える課題」であるべきです。
成果が出る声かけの基本原則
上位ページの分析と実務知見を踏まえ、成果につながる声かけには5つの基本原則があります。
原則1:課題起点で話しかける
来場者が「自分ごと」と感じるためには、業界や職種に共通する課題を第一声に含める必要があります。サービス名や社名を最初に出すのではなく、来場者が日常的に感じている課題から入ることで、「この会社は自分の状況を理解している」という認識を生みます。
原則2:短く・端的に伝える
第一声は10秒以内が目安です。長い説明は来場者の時間制約への不安を増幅させます。「30秒だけお時間いただけますか」のように、拘束時間の見通しを示すことも有効です。
原則3:ノンバーバルコミュニケーションを整える
声かけの内容以前に、表情・姿勢・立ち位置が来場者の判断に影響します。
- 笑顔とアイコンタクト:警戒心を和らげる最も基本的な要素
- 通路に対して45度の角度で立つ:正面に立つと圧迫感を与え、真横では気づかれない
- 腕組みやスマートフォン操作は避け、オープンな姿勢を維持する
原則4:相手の反応を見て切り替える
声かけは一方的な発話ではなく、来場者の反応に応じた対応が求められます。足を速めた来場者には「資料だけでもどうぞ」と切り替え、立ち止まった来場者には「どのような業種ですか?」とヒアリングに進みます。反応に応じて瞬時にトーンと内容を切り替えられることが、成果を出すスタッフの共通点です。
原則5:ゴールを明確にする
声かけの目的は「商談の場で詳しく話すこと」ではなく、「次のアクションにつなげること」です。名刺交換、アンケート回答、デモ体験など、声かけ後の具体的なゴールをスタッフ間で事前に共有しておくことが重要です。
すぐに使えるトーク例|4つのパターン

声かけのトークは、来場者の状態や自社の強みに応じて使い分けます。以下の4パターンを基本として、自社のサービスに合わせてカスタマイズしてください。
パターン1:課題質問型
来場者が抱えている可能性の高い課題を質問形式で投げかけるパターンです。
- 「新規開拓の架電、社内だけで回すの大変ではないですか?」
- 「展示会後のフォロー、リードの追客に困っていませんか?」
- 「営業の属人化、課題に感じていらっしゃいますか?」
効果が高い場面:ターゲット業種が明確で、共通する課題が特定できている場合。来場者が「まさにそれ」と感じれば、自然に会話が始まります。
パターン2:数字・実績フック型
具体的な数字や実績を示すことで、興味を引くパターンです。
- 「商談化率を平均30%改善した事例、30秒でご紹介できます」
- 「導入企業の80%がリピートしている仕組み、ご興味ありますか?」
- 「月間500件の架電を3名体制で実現する方法をお伝えしています」
効果が高い場面:自社に明確な実績数値がある場合。数字は抽象的な説明より記憶に残りやすく、来場者の関心を引きます。
パターン3:ベネフィット提示型
来場者が得られるメリットを端的に伝えるパターンです。
- 「営業コストを下げながら商談数を増やす方法、資料にまとめています」
- 「インサイドセールスの立ち上げに必要な3つのステップ、こちらでお伝えしています」
- 「BtoB営業の効率化事例集、お持ち帰りいただけます」
効果が高い場面:来場者の関心がまだ漠然としている場合。具体的なベネフィットを提示することで「聞いてみよう」という動機を作ります。
パターン4:資料・ノベルティ配布型
関心度が低い来場者や、急いでいる来場者に対して接点を確保するパターンです。
- 「業界別の費用相場レポート、お渡ししています。お受け取りだけでもぜひ」
- 「3分で読める導入事例集です。よろしければどうぞ」
効果が高い場面:足を止めてもらえない状況でも、資料配布を通じて後日のフォロー対象を確保できます。「無料で持ち帰れる」という心理的ハードルの低さが、接点づくりに有効です。
チーム体制と役割分担|属人化を防ぐ仕組み
声かけの成果を安定させるためには、個人のスキルに依存しない体制づくりが不可欠です。
3つの役割を分担する
展示会ブースでは、以下の3つの役割を明確に分けることで、効率的なオペレーションが実現します。
| 役割 | 担当業務 | 求められるスキル | 配置人数の目安 |
|---|---|---|---|
| 呼び込み担当 | 通路側で来場者に声をかけ、足を止めてもらう | 明るい声・瞬発力・体力 | 2〜3名 |
| ヒアリング担当 | 足を止めた来場者のニーズを聞き出し、適切な情報を提供 | 傾聴力・質問力・業界知識 | 2〜3名 |
| クロージング担当 | 商談意欲の高い来場者に詳細説明・名刺交換・次回アポ設定 | 商品知識・提案力・交渉力 | 1〜2名 |
トークスクリプトの共有と標準化
声かけの属人化を防ぐために、トークスクリプトを事前に準備し、チーム全体で共有します。
- 第一声のパターンを3〜4種類用意し、来場者の反応に応じて使い分ける
- よくある質問への回答を一覧化しておく
- 「この反応が来たらこう返す」という分岐シナリオを設計する
- 展示会当日の朝にロールプレイングを実施し、スクリプトの確認と修正を行う
振り返りとナレッジ蓄積
展示会終了後には、以下の観点で振り返りを実施します。
- どの声かけパターンが最も反応率が高かったか
- 来場者からどのような質問・反応が多かったか
- スタッフごとの名刺獲得数・商談化率の差異とその要因
振り返りで得た知見をスクリプトに反映し続けることが、展示会ごとに声かけの精度を高める唯一の方法です。
事前準備のチェックリスト
声かけの成果は、当日の対応だけでなく事前準備の質に大きく左右されます。
展示会前に完了すべき準備
- ターゲット来場者のペルソナ設定:業種・役職・課題を具体化し、声かけの方向性を決める
- 声かけスクリプトの作成:4パターンを基本に、自社サービスに合わせたトーク例を用意
- ロールプレイング:スタッフ全員で声かけの練習を実施。特に経験の浅いメンバーには重点的に行う
- 役割分担の決定:呼び込み・ヒアリング・クロージングの担当を事前にアサイン
- 配布資料の準備:来場者が持ち帰りやすいサイズ・分量の資料を用意。会社名・ブース番号を明記
- ヒアリングシートの設計:来場者から聞き出すべき項目(業種・課題・導入時期・予算感)を標準化
- KPI設定:名刺獲得目標数、商談化目標数を数値で設定し、スタッフに共有
ブースレイアウトと声かけの関係
ブースの物理的なレイアウトも声かけの成果に影響します。
- 通路側にオープンスペースを設け、来場者が立ち寄りやすい動線を確保する
- 入口付近にモニターやデモ機を配置し、視覚的な引きを作る
- ブース奥に商談スペースを設け、クロージングに移行しやすい導線を設計する
展示会後のフォローアップと声かけの連動

声かけで獲得した接点を成果に変えるためには、展示会後のフォローアップが不可欠です。
72時間以内のアクションが鍵
来場者は展示会後に大量の情報を処理しています。声かけの印象が残っているうちにフォローすることが、商談化率を高める最も効果的な方法です。具体的には、展示会終了後72時間以内にお礼メールを送信し、会話内容を踏まえた提案や資料を添付します。
ヒアリング情報をCRMに反映する
声かけの段階で取得した情報(業種・課題・関心度・導入検討時期)をCRMやSFAに速やかに入力します。これにより、フォローアップの優先順位付けや、インサイドセールスチームへの引き継ぎがスムーズになります。
声かけ→フォロー→商談の一気通貫設計
展示会の声かけを単独のイベントとして捉えるのではなく、リード獲得→ナーチャリング→商談化の一連のプロセスの入口として設計することが重要です。声かけの段階でヒアリングした情報が、フォローアップメールの内容やインサイドセールスの架電トークに活かされる仕組みを構築します。
よくある質問(FAQ)
- 声かけが苦手なスタッフでも成果は出せますか?
- トークスクリプトの整備とロールプレイングを事前に行うことで、経験の浅いスタッフでも一定の成果を出せる環境を作れます。重要なのは個人の話術ではなく、チームとしての仕組みづくりです。
- 呼び込みと声かけはどう使い分ければよいですか?
- 呼び込みは通路を歩く来場者の足を止めるための短い一言です。声かけは足を止めた来場者に対するヒアリングや情報提供です。役割を分担し、呼び込み担当が確保した来場者をヒアリング担当に引き継ぐ流れが効率的です。
- 声かけで使ってはいけないフレーズはありますか?
- 「よろしければ」「お時間ありますか」など、来場者にメリットが伝わらない曖昧な表現は避けるべきです。また、大声での連呼や、通路をふさぐような行為は展示会の運営規定に抵触する場合があります。
- 1回の展示会で何枚の名刺を目標にすべきですか?
- ブースの規模やスタッフ人数によりますが、3小間規模・スタッフ5名体制であれば、1日あたり100〜200枚が一般的な目安です。ただし、枚数だけでなく、商談につながる質の高いリードの獲得数もKPIとして設定することを推奨します。
- ノベルティは声かけに効果がありますか?
- 足を止めるきっかけとしては有効ですが、ノベルティ目的の来場者が増えるとリードの質が下がるリスクがあります。ノベルティ配布をヒアリングシート記入とセットにするなど、リード情報の取得と組み合わせる工夫が重要です。
- 声かけの効果測定はどのように行えばよいですか?
- 名刺獲得数、アンケート回答数、商談アポ獲得数を時間帯・スタッフ別に記録します。展示会後に商談化率・受注率まで追跡することで、声かけの質を定量的に評価できます。
- 展示会代行サービスに声かけも依頼できますか?
- 営業代行会社の中には、展示会ブースの運営代行や声かけスタッフの派遣を行っているサービスがあります。自社にノウハウがない場合や、大規模展示会でスタッフが不足する場合に検討する価値があります。
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まとめ
展示会ブースでの声かけは、来場者との最初の接点を作る重要なスキルです。成果を出すためのポイントを改めて整理します。
- 声かけの起点は「自社の紹介」ではなく「来場者の課題」に置く
- 第一声は10秒以内、短く端的に。笑顔・アイコンタクト・45度の立ち位置を意識する
- 課題質問型・数字フック型・ベネフィット提示型・資料配布型の4パターンを使い分ける
- 呼び込み・ヒアリング・クロージングの役割分担で属人化を防ぐ
- トークスクリプトの標準化と振り返りで、展示会ごとに精度を高める
- 展示会後72時間以内のフォローアップで、声かけの成果を商談に変換する
声かけは「センス」ではなく「仕組み」で成果を出せる領域です。事前準備・当日のオペレーション・事後フォローを一気通貫で設計することで、展示会を安定した商談創出チャネルとして機能させることができます。
展示会の運営や営業活動を外部の専門企業に委託することで、声かけの質を高めながらスタッフの負担を軽減できます。自社に合ったパートナー選びの判断材料として、SalesMatchProの比較コンテンツをご活用ください。